蒼社川魚図鑑



Ⅰ.ダム建設前から生息していた魚類

オイカワ(コイ科) カワムツ(コイ科) タカハヤ(コイ科) ヨシノボリ(ハゼ科)
背部が青褐色で、側面と腹面は銀白色である。側面には、うすい桃色の横斑が10個前後ある。
体長はオスで12〜14cm、メスは10〜11cmぐらいである。
河川では瀬の中・下層を単独あるいは数尾の小さな群れで活発に索餌遊泳する。
外形はオイカワによく似ている。体側に幅広い青紫色の縦帯があることで、オイカワと区別ができる。大きいものは20cmに達する。
流れのゆるやかな草木の影になったような所や細流に群れていることが多い。
体形はアブラハヤによく似ているが、体側に黒色帯がなく、暗色斑が背から腹にかけて散在している。
体長は7〜8cm。12cmあれば大きいほうである。
河川上流域の淵や淀み、山間部の湖沼に生息する。数匹で群れており、物陰に隠れていることが多い。
ヨシノボリは日外部形態から9種類以上に分類される。静岡県と富山県を結ぶ線より西の本州・四国・九州はカワヨシノボリが見られる。
河川の中流域の比較的流れのゆるやかな場所で生息する。群れでは行動せず、なわばり的行動が見られる。
コイ(コイ科) ギンフナ(コイ科) アマゴ(サケ科) ニジマス(サケ科)
体形はほぼ円筒形で、体色は背側が暗褐色で腹側にいくにしたがい薄くなる。ウロコには金色の光沢がある。成魚は25cm〜60cmぐらいになる。
河川では川岸の淵に群れをなしていることが多く、冬は川底に数十〜百尾集まって越冬する。
体長は15〜25cm。体形はヘラブナに似ているがギンブナは腹が平らなのに対し、ヘラブナはゆるやかな曲線。また口の位地はギンブナが体の中心より下、ヘラブナはほぼ中心にある。
泥底を好むが、砂礫底の河川にも棲む。群れで行動することが多い。
体形はヤマメに似ているが、体側に朱斑があることで区別できる。 大型の個体で30cmを越える。多くは1年未満で成熟するが、環境条件や生息密度によって大きさはかなり異なる。
年間を通して水温が20℃以下の渓流域に生息する。
えらぶたは桃〜朱色。測線にそって赤みがかった帯がある。頭部から体側に多くの黒い斑点がある。体長は成熟したもので15〜60cm。
北米原産の外来種であり、日本へは1877年以降に移植された。河川上〜中流域や清澄な湖にも生息する。
ナマズ(ナマズ科) ドンコ(ハゼ科) ドジョウ(ドジョウ科) ウナギ(ウナギ科)
体長30〜60cm。体は細長く、背ビレが小さい反面、尻ビレは長く体長の半分以上もあり、しかも尾ビレとつながっている。ウロコはなく、2対のひげがある。
体色は暗褐色ないし黄褐色。体側に不規則な斑紋がでるものある。河川の中〜下流域、湖底に棲む。
体長は10〜15cmぐらい。メスの方が大きい。体色はまわりの環境によって、薄茶色から濃い褐色に変化する。口が大きい。夜行性で意外に敏捷であり成魚になると自分とほぼ同じ大きさの魚類を補食することもある。河川の中流〜下流域、湖、池、水田の用水路などに棲む。 体長は10〜15cmぐらい。体は円筒型で細長い。口ひげはやや長く5対ある。体色は個体によっても変化に富むが、多くは茶褐色で背部に不明瞭な斑紋をもつ。ウロコはごく小さく、皮膚に埋もれている。単独で生活し流れのゆるやかな泥底を好む。河川の中流域から下流域、および水田や用水路、溝にも生息する。 体長は40〜90cm。体は円筒形で細長く。腹ビレが無いかわりに、背・尾・尻ビレが各々つながっている。ウロコはあるがとても小さく、皮膚に埋もれている。夜行性で昼間は物陰や岩の下などに潜むことが多い。河川、池、沼、湖などに棲む。水田に潜り込むこともある。
アユ(キュウリウオ科) アカザ(アカザ科) シマドジョウ
(ドジョウ科)
メダカ(メダカ科)
体は流線型で、脂ビレがある。配色は背が青みを帯びたオリーブ色、腹は銀白色。胸のあたりに、長円形の黄色の斑紋がある。口は大きく、11〜14個のくし状の歯がある。最大体長は30cmぐらい。川で孵化したした子魚は通常、海へ流下する。春、海から遡上してして成長したアユは流れの早い浅瀬になわばりをもつ。河川では中流域に棲む。 全長10cmほど。体色は肌色から赤褐色まで変異が多く繁殖期のオスは黒っぽくなる。上顎に2対、下顎に2対の計4対の口ヒゲがある。背ビレと胸ビレにある棘には毒腺があり刺されやすいことから、サソリ、サシ、カワオコゼといった地方名がある。主に河川の上〜中流域に生息する。昼間は石の隙間などに潜み、夜間になると活動する。 体長は10〜13cm。体は筒形で細長く、ウロコは極めて小さく皮膚に埋もれている。側線は胸ビレの上にあるのみ。ヒゲは3対ある。体側中央部に8〜16個の黒子の斑紋があり、この斑紋を貫いて淡褐色の縦のすじが通る。背と尾ビレに黒褐色の斑点がある。
河川の上流域下部から下流域、おそび池、沼湖の砂底や砂礫底に生息している。
日本人にとってなじみの深い淡水魚。体長は最大でも4cmほどである。背部中央は黒色で、その両側には金色のラインがある。オスの尻ビレは大きくメスの尻ビレは小さく後端ほど狭くなる。成長の早い個体は3ヵ月ほどで成熟する。野外での寿命は1年ほどであるが、飼育下では5年ほど生きる。平野部の池沼、水田、細流などに生息し水面近くを群れで遊泳する。

Ⅱ.ダム建設後から生息しだした魚類

ギギ(ギギ科) ニゴイ(コイ科) カマツカ(コイ科) ハス(コイ科)
体長は15〜25cm。日本産のギギ類中最も大きい。尾ビレ後端の切れ込みは深い。口ヒゲは8本。幼魚には暗褐色と黄褐色の模様があるが成長期にともない薄くなる。夜行性である。河川中流域や湖沼に生息し、岩や水草の障害物のあるところを好む。 かなり大型になる魚で、産卵時オスは35〜40cmぐらい、メスは45〜60cmぐらいの体長がある。外見はコイに似ているが、コイよりスマートな流線型で、背ビレが短いので一見してその違いがわかる。口ヒゲは1対。河川の中流域以下や湖に棲む。 体長12〜25cmぐらい。口は小さく下向きで、かつ下向きに伸ばすことができる。1対のヒゲがある。体色は背側が薄い褐色腹側は銀白色。体側中央に7〜9個の不明瞭な暗斑がある。胸、背、尾の各ヒレに小黒点がある。側線は完全でまっすぐに走る。
河川の中〜下流域、清澄な湖などの砂底や砂礫底に生息。

外形はオイカワに似ているが、比べると大型。特徴は「へ」の字型口。体は細く側扁し、未成魚やメスでは背部が青みを帯び、体側や腹部は銀白色である。繁殖期のオスは頭部、腹部、各ヒレに赤紫の婚姻色が現れる。全長30cmほどになる。コイ科の中で唯一肉食性魚種。湖岸の水の澄んだ所や沖の表中層を群れをなして索餌遊泳する。

ウグイ(コイ科) モロコ(コイ科) ヒガイ(コイ科) ワタカ(コイ科)
体形はいわゆる流線型で細長い。地方によって形は異なる下アゴは上アゴよえり短いかほぼ同じ長さである。アゴに歯はなく、ヒゲもない。河型(純淡水型)と降海型がある。体長は降海型の方が大きく、30〜35cm。河型は20〜25cm。体色は、頭部と背部が暗青色、側面と腹面は銀白色。河川の上流域下部から下流域まで生息する。 細長い体型で背および腹は丸みをおびている。全長6~15cm程度。側線は完全で、体側中央を直走している。いずれも1対のひげをもつが、種によって長短がさまざまである。体色は背が緑褐色でそれ以外は銀白色である。また側線にそって不鮮明な黒色の縦筋がある。平野部の河川や汽水域、池、沼、湖、農業用水などに棲む。 全長10~15cm程度であるが、まれに25cmに達する。体は細長く、背びれを斜めに横断する黒斑がある。体色・体型に変異が多い。口は下向きに付き、一対の口ヒゲがある。体側中央を側線が真っ直ぐに走る。
河川の中・下流域と湖に棲む。底層の水底近くを常に泳ぐ。
体長は15〜30cm。一見して背が張っている感じを受ける。体は細長く側偏する。頭が小さく目が大きい、口は斜め上を向き、側線は下方へ湾曲している。肛門より前方の腹面に船の竜骨状の隆起がみられる。体色は背部を除いて銀白色である。湖沼や流れのゆるやかな水域に生息する。
 
ブラックバス(バス科) ブルーギル(バス科) タイワンドジョウ
(タイワンドジョウ科)
 
北米原産の外来淡水魚。
かなり大きくなる魚で80cmを越えるものもいる。口からめを経て体側中央を通る、幅広い黒色の縦のスジがある。別名「オオクチバス」といわれるように口が大きい。背ビレ、尻ビレの一部は棘状になっている。とても貪欲な肉食性。湖や池など数尾が群れをなして中層から表層を遊泳している。
原産地はアメリカ。
体長10〜25cm。エラ蓋の後方に濃紺の斑紋があり、名前の由来となている。
体色は灰褐色から褐色、体側に7~10本の体軸を横切る縞があるが、成長とともに不鮮明になる。雄は腹部に赤い婚姻色を現す。
湖や池に生息、数は少ないが、群れで遊泳する。
体長は大型で約1m。体は細長く口が大きい。背ビレ、尻ビレが長く、特に背ビレは背中から尾まで伸びている。体側には2列の黒褐色の大きな角張った斑紋がある。流れのない泥底を好み、単打区で生活する。エラ呼吸意外に空気呼吸もできる。水面に出て空気を口から吸い込む。
川の止水域や沼、池などに棲む。