
今日は三反地にお住まいの山本真知子さんをお訪ねしました。工房へ案内していただきたくさんの草木染の作品を目の前にして思わず「わぁっ」。早くも興奮気味のスタッフでした。
今も言いましたが、子育てを終えて、これからの自分の生活に何か目的を持ちたいと思ったことです。私の草木染は編み物から始まりました。小さい頃から編み物が好きで、(この日も、ご自身作の藍染めの服に手編みのベストという素敵な装いでした。)趣味で編んでいたんですが、昼間は家業を手伝い、夜、習いに行き本格的に始めました。、作品を作っていく中で私の性格もあるんですが、みんなと同じ作品は作りたくない、自分だけの作品を作りたいと思うようになりました。そんな頃、編み物の雑誌で草木染のことを知り、あっこれだ!と思いました。自分で染めた糸で自分でデザインして編んだら、もう絶対それは世界にたった一つの作品じゃないですか、それが、一つのきっかけです。
最初は育てることはぜんぜん頭になくて、玉川の自然の中で生活しているから、まわりにある草や木で染められると思って始めました。それまで植物にはあまり関心がなかったんです。そんな頃、近所の方に山歩きに誘われまして、法界寺の浮穴先生にご指導していただき、月に一度あちこちの山へ行きました。専門書を持って先生の後を付いて行きいろいろ教えていただきました。
はい、最初は京都へも草木染を習いに行きました。そこで、徳島の先生を紹介され、月に一回徳島へ通うようになりましたのが平成の初めだったと思います。草木染だけのつもりが、藍染にはまってしまい、先生に藍の種をもらって栽培を始めました。20年余り前になりますね。主人が亡くなって17年ですから・・・。元気な時、3年か4年は一緒に作ってもらったでしょうか。今は近くの畑で自分で育てています。(10年くらい前に藍の畑で写したもう少しお若い頃の写真も見せていただきました。)


ヤブマオ(藪芋麻)です。このあたりで簡単に手に入りよく染まる植物です。水が好きな植物で川の土手によく生えています。なんで気に入っているかというと、よく染まることと、緑色の茎葉で6月頃に染めると、ピンクに染まり、茎が茶色になってから染めると赤みがかった茶色に染まります。
だから一番困るのは、何色に染めてくださいと言われることです。染めあがったもので気に入っていただけたらどうぞといえるんですが。だから精神としては、植物が持っている色をいただくのでこちらが支配できるものではないということです。そこが化学染料と違うところです。これはこの間ヤブマオで染めたものですが、ピンクといっても本当のピンクではないですが、あおい茎葉で染めて量が多いと濃い色になるんです。


一時間くらいの予定が二時間近く経ってしまいました。この後、作業場やアカネ・ヤブマオ・ハーブを植えられた畑も見せていただきました。

草木染め特有のやさしい色合いの作品や織物の数々、熱心にお話し下さった山本さんの染色、織物に対する情熱にすっかり感激してしまいました。そして、山本さんがご主人との思い出を話される時の優しい表情に魅せられ、うらやましくなりました。山本さんにとって藍は愛に通じるものがあったのではないでしょうか。
必ず、山本さんの技術を玉川へ残し伝えていかなければ・・・スタッフ一同の願いです。