お釈迦さんの森は、少なくとも三百年以上〔今治藩主松平定陳公が再連した元禄十五年(二七〇二年)以後〕
は斧は入っていないのではなかろうか。
そうだとすると自然林のまま置いておくと、森林が遷移して行って、照葉樹林へと変って行く見本のような森であ
り、本当に貴重な存在ではなかろうか。木々に名札を付ける等して永久に保存したいものである。
以下浮穴政成先生の調査に基づき、釈迦堂の森の樹木の解説をしてみたい。
菩提樹 しなのき科、シナノキ属、境内にあり、目通り一四七cmで、玉川町天然記念物に指定(昭和三十八年四月)
されており、中国原産で、お釈迦様ゆかりのボタイジュはくわ科のインドボタイジュで別の種類である。落葉高木、
花は六月で淡黄色の五弁。果実は十月に熟す。梢(チカラシバ) まき科マキ属、桂木神社の境内にあり、目通り
一三三cmで、玉川町天然記念物に指定されている。常緑高木で、雌雄異株。花は五月、種子は十月〜十一月頃成熟する。
葉は破れにくいためチカラシバの別名もある。
裏白樫 ぶな科、コナラ属、常緑高木で、四〜五月に開花、果実は翌秋熟す。
鹿子の木(コガノキ) くすのき科、ハマビワ属、常緑高木で幹に鹿子模様の斑紋がでる。
雌雄異株で花は七月、液果は翌年の八月に成熟する。
バリバリノキ(アオガシ) くすのき科、ハマビワ属、常緑高木で、雌雄異株。花は淡黄緑色、果実は翌年夏に熟す。
犬樫(マツラニッケイ) くすのき科、シロダモ属、常緑低木で雌雄異株。花は三〜四月、十〜十一月に
紫黒色の液果を結ぶ。
榎 にれ科、エノキ属、落葉高木、花は四月頃で、果実は十月に成熟する。
隠蓑 うこぎ科、カクレミノ属、常緑小高木、花は七〜八月で、晩秋黒熟する。和名は葉形が身を隠すために
着る蓑に似ていることから。
彩振木(シデザクラ、ニレザクラ) ばら科、ザイフリボク属、落葉高木、花は四〜五月で五弁の白花。
果実は九月に成熟する。
その他ヽ藪椿(つばき科、ツバキ属)、粗樫(ぶな科、コナラ属)、銀杏(いちょう科、イチョウ属)、
杉(すぎ科、スギ属)、桧(ひのき科、ヒノキ属)等。新たに地名にちなんで、桂(かつら科、カツラ属)も植樹された。
原色樹木大図鑑(北隆館)を参考とする。 青井 三郎