万葉の森(36) 植物園づくり

五月の万葉の森は木々の花が咲く季節です。

●五月の開花予想の植物

※♂雄花♀雌花
クロマツ4/26・アカマツ5/3・エゴノキ5/20・△カシワ5/6・△コウゾ5/2・コナラ5/4・△シラカシ5/4・△ミズナラ5/15・△ニッポンタチバナ5/4・△カラタチ4/25・ヤマハゼ5/17・△モミ5/6・ヤマブキ5/16・ユズリハ5/5・△トチノキ5/15・△ヤマグワ♂4/19 ♀5/17・オキナグサ5/10・ヒトリシズカ4/21・フタリシズカ5/22・フトイ5/10・フタバアオイ5/6
※△の植物は花が咲くまでに成長して いない植物です。

58 クロマツ(まつ)まつ科

5 アカマツ(教材植物)

クロマツは海岸沿いに多く、所により標高六~九百メートルまで生育、アカマツは山麓から高所(標高二千メートル内外)まで生え、乾燥したやせ地に村する適応性が強いので、高地にもよく生育します。両者とも花は四~五月、球果は翌年の秋に成熟します。

31 エゴノキ(ちさ) えごのき科

五~六月白花が多数下向きに咲く。果は十月ごろに熟すと灰白色の果皮が裂け、中から褐色で堅い種子を一個出します。果は有毒、繁殖は実生、核果から種子を取り出して採り播きをするか、翌春に播くとよく発芽します。三~五年で花をつけるようになります。寺院などによく見かけるハクウンボクも同じ仲間です。庭に一本欲しい木です。

43 カシワ(このてがしは) ぶな科

雌雄同株、五~六月に開花し、秋に堅果が成熟します。繁殖は実生によりますが、実がなるまでにはかなりの年数が必要です。種子が乾燥しすぎたり、虫の食害がなければほとんど発芽します。

3 アカガシ(教材植物) ぶな科

五月ごろ花が咲き、翌年の十月ごろ堅果が成熟します。中村の嶋御門神社には目通り一~ニメートルの大木が十四本あり、五株になって境内の西側を覆っています。郡内では珍しい群落です。万葉の森には実生苗が石棺の北側に育っています。アカガシは用材として広く利用されていますが、生木は風害、煙害に強く、防火力もあり、大気汚染などの公害にも強い樹種とされており、境内上側の集落と神社を遮るようにアカガシの群落を作っているのは、昔の人たちの知恵だと思われます。十月に熟した種子を採り播きすると冬には発根し、冬越した翌春に萌芽します。
万葉の森で、花と実(どんぐり)を見られるのは公園ができる以前からあったアラカシ、コナラ、クヌギだけですが、足を運べば町内でほとんどのドングリを拾うことができます。万葉の森でも十年ぐらいたてば拾えるようになりたいものです。

177 ヤマブキ(やまぶき) やまぶき科

花は四~五月に咲き、九~十月ごろ結実します。繁殖は株分けが主で、十一月が適期です。九月に新枝のミスト挿しで殖やすこともできます。ヤエヤマブキは雄しべ、雌しべが花弁化し、多く重なって美しいが結実はしません。葉に白い斑入りのフイリヤマブキが筆者宅にありますが、生育はよくありません。

180 ユズリハ(ゆづるは) とうだいぐさ科

四月上旬萌芽し、四月下旬から展開します。五~六月開花し、緑黄色の小花をつけます。新葉が初夏に開いた後、古葉が落ち、果実は十月に成熟します。繁殖は実生が主で、秋に種子を採り、すぐに播種するのがよい方法ですが、場合によっては、種子を一~二ヵ月低温貯蔵しておいて播いてもよい。発芽はどちらも翌春になりますが、発芽苗の生育は遅いようです。雌雄異株、防火、防風、防塵、砂防など使われていますが、万葉人はゆづるはの上を鳴き渡ってゆく鳥(ホトトギス)を詠んだといわれています。(集中二首)。

132 ヒトリシズカ(つぎね)

198 フタリシズカ(教材植物) せんりよう科

白い穂状の花穂一本がヒトリシズカで、二~三本がフタリシズカです。前者は四月から咲いていますが、後者はやや遅れて五月に咲きます。葉の形、つきかたも違いますが、花穂の数が名前の決め手です。直射日光の当たらない明るい場所で乾かさないようにします。繁殖は三月か十月ごろに、水で根茎をよく洗い、両方に芽がつくように切り、株分けします。肥料は花後、梅雨入りまでに月に二~三回、液肥か化成肥料を与えます。