七月の万葉の森は梅雨を迎えて緑が深くなる季節、アジサイや水生植物が元気いっぱいです。
△アオギリ・○アサザ・○アジサイ・イヌツゲ・△オニユリ・○キササゲ・クログワイ・サンカクイ・ショウブ・トコロ・ネムノキ・ヒルガオ・フトイ・ベニバナ・マンリョウ・ヤブコウジ・○カラタチバナ・ムラサキ
※ △花をつけない ○六月から咲いている
原産地は琉球・台湾・中国・インドシナ。アオギリは二、三十年の太い幹になっても樹皮が緑色で新梢のように美しく、生長も早い。大気汚染に強く、西日除けとして庭木に欲しい樹木です。
果実は十月頃に成熟するので、乾燥させて保存し三~四月に播種、実生すると生長の個体差が大きいので、一~二年生のものから生育のよいのを選んで育苗します。五~七年で成木になります。
落葉低木。梅雨を代表する花で、梅雨どきほのかな安らぎを与えてくれます。強さは普通ですが、生長も比較的早いが乾燥とやせ地は嫌いで、やや日陰になる場所を好みます。五~七月に開花、淡碧色・淡紅色または白色の多数の花が咲き、花の色は酸性土では青味が強く、アルカリ土では紅色が強くなる性質があります。花色が変わることが多いので、俗に七変化といわれています。野生種は少なく、すべて園芸種です。 繁殖は三月の挿し木、七~九月まで葉をつけて挿し木します。大株のものは三~四月、九~十月の株分けもよい。
わが国のユリ十五種のうち九種が固有種で、残り六種が東亜大陸と共通です。万葉集に詠まれたユリはヤマユリかササユリとされていますが、入手も栽培も難しいのでオニユリを取り上げています。オニユリも固有種の一つですが、三倍体で種子はできないので、珠芽による繁殖をします。珠芽で殖える唯一のユリなので保存しなければなりません。栄養体の珠芽によれば種子よりも生育が早く仲間をふやすことができます。球根を大きくするためには珠芽は取ります。
水辺に群生し、根茎はよく枝わかれして横にはって節から多数の根を出す。植物体に強い香気があるので古くから邪気払いの行事に使われてきました。花期は五~七月、花茎は葉より短いが苞の長さは二〇~四〇センチ、花序は花時には長さ四~七センチで斜上します。繁殖は株分け、春の彼岸前後が最適、株分けに当たっては草丈十五~十六センチ以上のものを一~三本ぐらいに植込みます。
トコロの別名はオニドコロ、万葉の森にはカエデドコロもありトコロの宝庫です。「ところづら」はトコロの蔓は長く伸びるところから、どこまでも続くことのたとえです。「ところづら」は根にヒゲ根があるので、老人を見立てて縁起をかついで根のひげを並べ干して正月の蓬莢飾(ほうらいかざり)としています。
※蓬莢飾=年始祝の取り肴で、三方などの上に盛った米・串柿・ミカン・昆布・エビ・トコロなど
この三種は多年生の水草、梅雨に入り万葉の池ではいちばん元気な植物です。前者二種は市民の森近くの池に自生がありますが、フトイは自生は見つかりません。生花用に栽培されている大野の森さんからいただいてやっと入手できました。七月ごろから赤褐色、黄褐色の小穂を枝先につけ、十月には熟果が楽しみです。
繁殖はいずれも株分け、クログワイは食べられる塊茎ができますが、それを四月ごろ浅く泥の中に植えつけます。
ベニバナは一年草ないし越年草で、秋まきすれば四~六月に開花、春まきすれば七月に開花します。今年は春まきしたので七月を待っています。 エジプト原産といわれていますが、日本への渡来は推古天皇の時代(六〇〇~六二九年)とされています。