万葉植物のアオギリ(ごどう)とジャケツイバラ(かわらふじ)。黄色の花が満開でマメ科の植物であることもよく分かります。アオギリは成長が早いので丈はのびていますがまだ四ー五年生なので、花をつけるにはもう五年は必要でしょう。
万葉の池の手前にあるヤマボウシ(つみ)は、植えた年からたくさんの花をつけましたが、年によっては花のつきが少ないようです。よく見かけるアメリカヤマボウシ(別名ハナミズキ)と同じミズキ科ですが、ハナミズキと比較すると開花期が遅く、す
でに開葉した後に花をつけるので観賞価値は劣ります。ヤマボウシは果実が食べられるのでヤマグワと呼ぶ地方も多いようです。町内では龍岡奥地の五丈の滝の手前に大木があるので、以前はよく食べに行きました。
クサイチゴ(いちし)は花が終わると小形の核果が多数集まって球形となり、赤色に熟して食べられます。たいへんよい味と香りがします。六月になると同じく食べられるナワシロイチゴ(別名サツキイチゴ)をどこでも見かけますが、クサイチゴのほうが上品です。クサイチゴは五月に食べられるのでワセイチゴの別名もあります。
万葉花壇に地植えしているオキナグサ(ねっこぐさ)は、筆者宅の鉢植でしたので、花は咲きましたが実ができませんでした。その後元気そうな生長が見られ、確実に種子が穫れる状態になっています。実生で簡単に繁殖できるのはよいのですが、種子の寿命がごく短いのですぐまかねばなりません。
五月初旬に咲く一番咲きのヒルガオ(かほばな)は、最初は一株だけ植えただけなのに、今では数えきれないほど小苗がはびこっています。野生植物の繁殖力の強さに驚かされています。
ムラサキ。ムラサキという名前なのに白い花が咲くのは不思議だと問いかけられることがよくありますが、答えようもありません。上代の万葉人のねらいは花や葉でなくて紫染めや皮膚病・解熱・切傷・火傷など薬用に使った乾燥した根にあったのです。今は関心のある者が培養しているだけになっています。
ホオノキ(ほほがしは)は四月下旬から開花が始まり、五月中旬まで咲き続けます。何度か交配を試みたところ失敗続きでしたが、自然に種子が穫れるようになり、繁殖に期待しています。万葉の森には活着して順調に生長しています。
※()内は万葉名です。